クリニックでできること、クリニックでしかできないこと
僕は平成4年に医師になりましたので、今年で26年目になります。
その間、長崎大学病院、長崎市民病院、光晴会病院、小倉記念病院などいわゆる総合病院、急性期病院で勤務してきました。
仕事の中心は救急外来での救急治療や、ICUやCCUでの集中治療、またカテーテルを使った冠動脈や弁膜症の治療などでした。大変ですが、やりがいも大きい仕事でした。
そのような仕事から、今回クリニック開業へと踏み切った理由について書かせていただきます。
今まで診療してきた患者さんの多くは、救急車で来られる心筋梗塞や心不全の患者さんなど、重症の方が中心でした。そのような方の治療はたとえ全力を尽くしても、治療が効果を示さなかったり、後遺症を残したり、生命に関わったりすることも少なくありませんでした。
そこで痛感したことは、大きな発作を起こす前に、起こさないようにする治療、つまり予防医療の大切さです。
心臓や脳の重大な発作の最も大きな原因は、血管の動脈硬化性変化です。そして動脈硬化の原因は、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満などであることがわかっています。
つまり、それら生活習慣病といわれる状態を改善できれば健康で長生きができるということになります。
このように書くと、一見簡単そうに思えますが、これがけっこう難しいことなのです。
小さなクリニックでは、手術や入院はできませんが、患者さん一人一人としっかり向き合うことが可能です。
生活環境や考え方はそれぞれですので、クリニックでは単一的なアプローチでなく、有効で最適な治療法を医療側と患者さん側で一緒に探っていくことができると思います。
これからは、大きな病院ではやりにくかった、きめ細かい医療を患者さんと一緒に力を合わせてやりたいと考えています。
クリニックでできることをしっかりやって、さらにクリニックでしかできないことに向き合っていくことが、僕の今からの使命だと思います。