コラム:医療ドラマ | かたやまハートケアクリニック 長崎長与町 イオンタウン長与内の内科・循環器内科・心療内科

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コラム

医療ドラマ

(2017.07.18更新)

患者さんと世間話をしているときに、“先生は医療ドラマとか見ないですよね?”と聞かれることがあります。

そんなことはないです。基本的に家にいるときはTV付けっぱなしです。巨人戦の中継がないときや、試合終了後はよくドラマにはまっています。

特に医療系は、連続録画してまで見ることが多いです。

今までのベスト3は、唐沢寿明さんの“白い巨塔”(田宮二郎さんのも名作でした)、江口洋介さんの“救命病棟24時”、吉岡秀隆さんの“ドクターコトー診療所”でしょうか。

レントゲンが左右逆だったり、心臓マッサージの場所が心臓でなくお腹だったりすると、思わず“それ違う”と、お約束の突っ込みを入れながらですが、基本的には楽しく見せてもらっています。

医療系のドラマは作り方によって、患者さんやその家族であったり、看護師さんや技師さんであったり、いろんな人の視点から見ることができると思います。

僕の場合は、職業がらなのか、どうしても医師を演じている役者さんに感情移入してしまいがちです。

例えば、白い巨塔の場合、唐沢さん演じる財前教授が術前の肺転移を見落として裁判で有罪になるシーンがあります。この場面はおそらくドラマの制作者の方(原作の山崎豊子さんも?)は、遺族の方の思いが報われて視聴者が溜飲を下げて納得するように作られていると思うのですが、僕には財前教授の“癌はほっとくと命を奪う。検査をする暇があったら一刻も早くオペするべきだ。”とのセリフにも一理あるように感じられるのです。

このドラマでは、最後、財前教授は手術のできないステージ4の肺癌に自らが侵されます。その余命数か月という宣告を親友でライバルでもある江口洋介さん演じる里見医師から受けます。その時に里見医師が“君の恐怖や不安を一緒に受け止めたい”と、延命治療を申し出ますが、“僕は医師だ、恐怖や不安はないよ、ただ、、、、無念だ”と絶句するシーンもすごく印象に残っています。

ちなみにこの二人の役者さんは、20年以上前に“愛という名のもとに”というドラマでも親友かつライバルの役を演じており、このドラマも大好きでした。浜田省吾さんの主題歌もマッチしていました。

ドクターコトーでは、医療とは直接関係ないシーンですが、中学進学のため島を離れる息子が、島に残る父親にプレゼントをことづける場面がありました。時任三郎さん演じる父親は炎天下の屋外作業で子供を育て進学資金を作り、そのお礼にとタオルを渡されます。そのタオルには180円(ぐらいだったと思います)の値札がついたままのけっして高級品とはいえない品物ですが、父親の大好きな海と同じ真っ青なタオルでした。中島みゆきさんの歌をバックに時任さんがタオルを握りしめ嗚咽するシーンでは思わずこちらの涙腺も崩壊してしまいました。

現実はドラマと違って、なかなか難しい状況になることも多いです。医療現場は文字通り命をあつかう業界ですから、ミスは許されない真剣勝負の場です。これは大病院であろうとクリニックであろうと同じであり、僕たち医療スタッフはより身を引き締めて日々の診療に向き合わなければなりません。

こんな日々の中で、ちょっと息抜きもかねて医療ドラマを見るのは癒やされます。今週からコードブルーも始まりました。また楽しみが増えました。