認知症について
皆様こんにちは、当院副院長の片山二郎と申します。
このコラム欄は院長に任せておりましたが、院長より心療内科領域について発信せよとの命を受けましたので、書かせていただきます。よろしくお願いいたします。
当院は6月よりイオンタウン長与内で診療を開始し、2ヶ月経過したばかりの新しいクリニックです。院長が内科全般を、精神科専門医である私が心療内科、精神科を診させていただいております。精神科医として20年、これまで特定の専門分野を設けず、認知症疾患、ストレス関連疾患、鬱病、思春期に抱える諸問題など、心療内科、精神科全般を幅広く診療してまいりました。これまでの経験をいかし、今後は地域のかかりつけ医として微力ながらお役に立てればと思っております。
今回は私自身、特に思い入れの強い認知症疾患全般についてお話しさせてください。皆さんご存じのように認知症は進行性の疾患です。お薬によって進行をある程度遅らせることは可能ですが、それには個人差もあり、なかなかうまくいかないことも現実としては、時にみうけられます。当然進行すると必要とする介護度も上昇し、周囲のサポートが必要となります。御家族の理解、医療も含めた福祉サービスのサポートが不可欠となります。
認知症は大きく分けると四つのタイプがあるといわれています。物忘れがメインとなり人格レベルが低下していくタイプ、いらいら感や怒りっぽさ、気分の変動が目立つタイプ、手の震えなどの身体症状に加え、幻視などが目立つタイプ、同じことを繰り返し言い続けたり、特定の行動パターンを繰り返すなどこだわりが強くなるタイプの四つです。当然、対応や治療もそれぞれに応じたものとなります。徘徊や暴力、暴言、被害妄想などが強くなるとお薬(向精神薬)の服用が必要となりますが、同時に認知症を患っておられる方は高齢や、その他の合併した身体疾患などで副作用が出やすい状態となっていることも多く、細心の注意が必要となります。
当院では、認知症という疾患のみに目を向けるのではなく、患者さんおよびその御家族の生活の質を保つことを第一に考えております。そのため可能な限り少ないお薬(場合によっては漢方薬を用いることもあります)を用いて、福祉サービスとの連携もとり、患者さん本人はもちろん、御家族および周囲の方のご負担を少しでも軽減できるような最適な治療を目指しております。
心療内科、精神科というと、最初の受診に踏み切ることを躊躇されるということも伺います。当クリニックでは、プライバシーの保護には細心の注意を払っており、表玄関と別の出入り口を設けたり、ご希望の方には個室で待機いただくことも可能です。また、受診される方および付き添いいただく方が少しでも快適に過ごしていただくように、BGMなども配慮し、清潔で居心地のいい空間を提供できるようスタッフ一同努力しております。
認知症でお悩みの方およびその御家族の方はもちろんですが、ストレス関連、不眠、意欲低下など心療内科、精神科領域のことで気になることがございましたら、お気軽にご相談いただきますようお願い申し上げます。