コラム:心療内科受診のハードル | かたやまハートケアクリニック 長崎長与町 イオンタウン長与内の内科・循環器内科・心療内科

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コラム

心療内科受診のハードル

(2018.02.05更新)

うちのクリニックは内科、心療内科の二つの診療科の併診クリニックです。
今回は内科医の立場から心療内科受診について述べさせてください。

一般的に、心療内科を初めて受診するのには内科や小児科、外科などと比べるとハードルが高いように思われます。
この理由として、根強い根性論の存在があるように思います。
仕事や学校など、行かなければならないこと、やらなければならないことは、多少の無理をしてでも根性でやりとげろという理論です。
さすがに高熱や怪我など、明らかな内科や外科の疾患があれば免除されるのでしょうが、眠れない、やる気がでない、なんとなくきついなどの理由では仕事や学校、勉強や家事などを免除されにくいし、医療機関などにも助けを求めにくい現状があるのではないでしょうか。

根性論は暴走すると、運動部の練習中には水を飲んではいけないとか、仕事ではノルマをこなさないと帰れないなどのハラスメントや、体罰にもつながりかねない一面があります。

もちろん、ある程度の精神論が必要なことは間違いありません。僕も巨人の星やタイガーマスクを見て育ってきましたので、目標やノルマに対する高い意識が重要で、そのためにある程度の我慢や自己犠牲の精神が必須であることも間違いないでしょう。

ただ、そこには限度があります。その限度を超えてしまうと、心や体が悲鳴を上げます。発熱や頭痛、腹痛などの体の警報は、比較的本人にも周囲にも受け入れやすく、休養をとったり医療機関を受診したりしやすいと思います。しかし、心の悲鳴が問題です。前述したように、眠れない、不安が強い、集中できない、意欲がわかない、出社、登校したくないなどの心の悲鳴は軽視されがちです。場合によっては、協調性がない、わがまま、空気を読めない、周囲に悪影響をおよぼす、などと、いわれのない非難をされることさえあります。

まじめで、目標意識、責任感が強い人ほど、周囲に迷惑をかけられないなどのプレッシャーも背負い込み、心の悲鳴に無理矢理ふたをして、さらにストレスをため込む悪循環に陥りがちです。
こうなってしまうと、きわめて危険な状態であり、取り返しのつかないことがおきかねません。

こうなる前に一番望ましいのは専門家である心療内科を受診いただき、ご相談いただくことです。このハードルがどうしても高ければ、とにかく一人で抱え込まず、家族や信頼できる知人に助けを求めることです。

僕たち医療関係者がしなければいけないことは、少しでも心療内科受診のハードルを下げることだと思います。
当院ではプライバシー保護につとめることはもちろんですが、できるだけお気軽に受診いただけるような雰囲気、環境にも留意しております。
また、内科と併診ですので、ひとまず内科受診いただいて内科的な診察後に心療内科受診について必要性も踏まえ、ご説明させていただくことも可能です。

心が悲鳴を上げたときには、決して無視しないでください。
そのお手伝いを当院がさせていただければ嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。