抱え込まず気軽に相談を
ストレスを感じると、誰しも気分が落ち込んだり、食欲がなくなったり、眠れなくなったり、場合によっては、頭痛、動悸、体のだるさといった身体症状が現れることがあります。そのまま特に、治療を受けなくても、時間がたてば元のように元気になることも少なくありませんが、症状によっては風邪と同じで、無理を続け治療が遅れると、深刻な状態に陥ることも稀ではありません。
内科や身体疾患であれば、すぐにその症状に応じた診療科を受診することに特にためらいはなくとも、一般的に 心療内科を初めて受診するのには、内科や小児科、外科などと比べるとハードルが高いように思われます。実際自分が心の病気になってしまうと、周囲から「気の持ち様」「甘えとる」「気合いの足らん」「ほっとけば治る」といった（間違った）叱咤激励を受けてしまう場合も多く、心の病に対する偏見というよりも、この背景には、やはり病気について一般的に知られていることが少ないこと、そして日本古来の精神論的な観念や根性論が根強くあるように思われます。
もちろんある程度の根性論が、必要なことは間違いありませんが、そこには限度があります。その限度を超えてしまうと、心や体が悲鳴をあげます。発熱や頭痛、腹痛などの身体の症状は比較的本人にも周囲にも受け入れやすく休養をとったり医療機関を受診しやすいと思います。しかし心の悲鳴が問題です。前述したように、眠れない、食欲がない、不安が強い、集中できない、意欲が湧かない、出社、登校したくないなどの心の悲鳴は目に見えない部分が多く軽視されがちです。場合によっては、協調性がない、わがまま、周囲に悪影響を及ぼす等といわれのない非難をされることさえあります。
真面目で、責任感が強い人ほど、周囲に迷惑をかけられないなどのプレッシャーを背負う込み、心の悲鳴に無理やり蓋をしてさらにストレスを溜め込む悪循環に陥りがちです。こうなってしまうと極めて危険な状態であり、取り返しのつかないことがおきかねません。
こうなる前に一番望ましいのは、専門家である心療内科を受診し、ご相談いただき一緒に考えていく事ですが、このハードルがどうしても高ければ、とにかく1人で抱え込まず家族や信頼できる知人に助けを求める事が大切になってきます。
繰り返しますが心の病は特別なことではなく誰にでも起こりうるものであり、早期の受診治療が必要です。
どうぞ、1人で抱え込まず、心が悲鳴を上げたときは決して無視することなく、お気軽にお近くの心療内科にご相談くださいます様よろしくお願い申し上げます。
（長与町 イオンタウン長与内 かたやまハートケアクリニック 副院長 片山二郎）